イベント報告

ミーティングリポートVol.1「現代若者家族論」 2006.8.8@大阪NPOプラザ

>個人の生き方の選択肢が広がり、家族の形態も多様になった現代において、家族は社会とどうつながり、次世代を育んでいけるのでしょうか?
第1回目のリアルミーティングは、8月8日大阪NPOプラザに20代の男女6人が集い、それぞれの家族論につ いて熱く語ってくれました。
6人の”現代若者家族論”を読み終えて、あなたは”あなたの家族”についてどう考えましたか?
大きく共感できたところ、思わず自分に問いかけてみたところ、色々あった事でしょう。
座談会でファシリテーターを務めて下さった心理カウンセラー古宮昇氏のコメントを参考に、ミーティングリポートを読んであなたが感じたことを、ディスカッション Naviで教えてください。
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あなたのご意見、お待ちしています。

座談会「現代若者家族論」

古宮昇 今日は20代の人たちが家族のことをどんなふうに思って何を感じているかお話いただきたいと思います。まずは自己紹介を、できれば家族構成も含めてお願いします。
Sさん 関西こども文化協会事務スタッフです。父は信用組合に勤め、母はパートの保母をやめて現在は専業主婦。父はおだやかで優しいが、母は厳しい人です。兄がいますが、転勤になり別居しています。
磯野桂子 大阪ボランティア協会のスタッフで、4年目になります。中学教師をしていた父と姉がいます。母は私が23歳のときになくなりました。姉は結婚して二人目をもうすぐ出産、別の家族を作っています。私も家を出ているので、父は一人暮らしです。
尾上和樹 大阪市大大学院一回生。母と大学1年の弟がひとりいます。父は私が高1のときに病死しました。母は整体教室をしながら家事もしているがんばりやです。僕も弟も、受験、受験で育てられてきたのが家族の特徴だといえます。
山本雅美 昼間は事務のアルバイトをし、NPOのボランティア活動などしてきた。父と母、去年東京から帰ってきた弟と暮らしています。父は高校の国語教師、母も1,2年講師をしていたことがあり、弟は体育教師で、教員一家です。
田中祐子 大学院のマスター2年。ボランティアで不登校の子どものメンタルフレンドをしています。母と妹、私の3人家族。父は5年前に離婚していない。妹はフリーター。母はスーパーのおすしコーナーで勤めている。
森徹朗 アルバイトで学童保育士をしています。単身赴任中の父、母、大学4年の弟と小学校6年の妹の4人家族です。

成長した今思う私の家族

古宮昇 では皆さんが育った家庭についてどうでしょうか?良かったなあとか、もっとこうだったらとか、自由に思いつくまま話してください。
尾上 自慢になってしまうかもしれませんが、良い家庭だったと思います。父は教育 熱心で、塾にも行かされたけど、年に一回は時間を割いて旅行や登山に連れて   行ってくれたりしました。
Sさん 家族だから弱いところを見せてもいいと思うのに、母はダメなところは見せない。最近も朝の4時までけんかした。大学に入ってから言い合えるようになった。言い合えるようになって、そのときは泣いたりして大変だけど、気持ちがいい。母もそういってくれる。
山本 父も母も旅行が好きでお盆には母方の祖父母と一緒に旅行して楽しかった。父方の祖父母とは、いつも父の妹の家族と比較されて仲良くなかった。しかし祖父の入院がきっかけで、妹家族とも初めてまともに話し合い、分かり合えるようになり、今では母と姉妹のように、メールしたりして仲良くしていて良かったと思う。
良い家族だと思います。思い返してみても嫌なことがなかった。勉強しろとか人並みに言われてきたけど、苦にならなかった。昔親に言われ、うるさいと思ったことも、今になって親が正しかったと思える。
磯野 父が部活の顧問をしていて家におらず、旅行もした記憶が無い。 父親が子育てに関与してこなかったので逆にやさしいいいイメージを持っていた。母とは身近な存在でけんかもよくした。おとなになって母とも理解しあえるようになり、その反面完璧と思っていた父親の弱さが見えてきた。私も29歳、お互い対等な大人として付き合えたらいいと思うのだが、親は完璧であってほしいと思ってしまう。
田中 ダメなお父さんとしっかり者のお母さん。子どもは母についていったら大丈夫だと思ってきた。父をオミットするような家族であり、最終的に父が出る形になった。おとなになって父と話してみると、そんなに悪い人ではないなあと。母とは暮らしているが、父と母どちらの子どもでもあることに変わりは無いと思える。おとなになってようやく家族になれたような気がする。
尾上 先ほどはプラスのことばかり言っていましたが、マイナスの面もあります。父も母も子どもの頃は放任されて育った。その反動で自分の子どもには手をかけたいという思いがあったようだ。父親がすごく教育熱心で、母も支配下において従わせ、思うとおりにならないと暴力もあった。僕は母に教育を受けたのでそうでもなかったが、弟は父が担当して、結構厳しく指導していた。勉強ができなかったときはたたかれたりしていた。弟は今でも試験恐怖症で、試験前だと精神的につらいという。    
中学受験のために、小学校の時に塾に通わされ、12時間も拘束されるような生活をおくり、今でも受験が自分を壊したと言っている。
山本 教育に関しては「勉強しろ」と言われたこともない。子どもにはやりたいことはやらせるという母の方針で、スイミング、英会話、ピアノなど、習いたいというと楽しく習えるところを探してくれた。父親は私が中高生の頃、生活指導の担当で、生徒に注意するのと同じように、服装髪型など風紀には厳しかった。
Sさん 高校生のときすごくしんどかった。何でしんどかったのか?おかあさんは自分の気持ちを伝えてくれない、私も愚痴をいえない。なんでこうなんやろうと自分がしんどいばっかりだった。今は、お母さんはこういう人なんだと思えることで少し楽になった。自分が一歩引いて客観的にみることで、家族の中の自分の位置がわかって、お互いの気持ちを言いやすくなり、家族にとっても、自分にとってもメリットになった。一個人として成長した瞬間だなと思った。

家族の中での孤立、社会の中での孤立

古宮 最近メディアで家族をめぐる事件がよく取り上げられますが、みなさんはどんなふうに感じますか?
山本 虐待する親の気持ちは現実味としてわからない。自分が虐待されていないのでまったく理解できないし、許せない。
田中 Sさんさんの発言にあった「少し引いた立場で冷静になれる」ことができない家庭に危機的状況が訪れるのでは?
Sさん うちは悪いことをしたら手を上げていた。幼いときに兄が蝉を石にぶつけて遊んでいたとき、母は泣きながらしかって、たたいていたのを覚えています。自分もたたかれたことはあるが、それで傷ついたということはない。色々な事件があったときに良く話し合っていました。
磯野 たたかれて育ったので、自分がそういう状況になったときどうするかわからない。様々な事件の背景には、家庭の中で話しができていないことが根本にあると思う。家庭が閉じられているのではないでしょうか。家のことはプライベートなことで、友達の家のこともあまり知らない。友達に話すこともできず、親に言うこともできない。
古宮 家庭が孤立しているということですか?
山本 私の住んでいる団地は団塊世代が同じ時代にどっと入居して、親同士も同世代、子どもも同世代で、ドアは開けっ放しで、親も子も自由に出入りできた。それぞれの家庭の状況が、お互いに分かっていた。 東北の事件では、子どもが一人でインスタントラーメンを外で食べているのを知っている人はいたが、家に入れてあげた話は聞かない。今は一般的にプライバシーに踏み込むことはできない風潮では。
尾上 山本さんとは違って、一戸建てに住み、近所とはあまり交流が無かったけど、うちの家族は夕食後1時間ぐらいしゃべる。けんかも1,2時間かけて、議論したりする。家庭内でのコミュニケーションはとても大事だと思っている。
山本 夫は仕事が忙しく、自分は子育てで大変だけど理解されない、助け合える友達もいない。ストレスがたまるから身近にいる一番弱い人に当たってしまうのかも。
田中 子どもは、息苦しさやしんどい状況から、血縁で縛られているゆえに逃げ方を知らない。
Sさん 子どもたちに接してみて、今の子どもは親にとても気を使うように感じる。親に何でも言える感じではない。親に言いたいことがいえないと内にたまってしまうのではないかと思います。

親になりたい?

古宮 今までは子どもの立場で考えていただきましたが、次は親だったらという立場で話していただきたい。まず、結婚して家族を作りたいですか?親になりたいと思いますか? 全員思います。
どうして、またどんな家族をつくりたいと思う?
尾上 僕は古い考えをしていて、母親は原則的には仕事はしてはいけない。こどもが小学校中学年になるまでは家にいてほしい。こどもは本能的に母親にそばにいてほしいと思う。働いても週1,2日。兄弟はいたほうがよい。子どもが大きくなったら母親も働いて、逆に距離をおいたほうがよいのかな。
山本 妻が働くかどうかはどちらでもいい。二人で決めて家族をつくっていけばいい。子どものためには両親ともいたほうがいいが、二人とも働かないわけにはいかないから、両方少しずつ働くとか、どちらかが働くかを二人できめていけばいい。
Sさん 私は小学校6年生まで母が専業主婦で、学校から帰ってすぐに話ができるのでうれしかった。何がなんでも母が家にいるのがいいと思っていた。でも大学に入って、働きながら子どもともしっかり向き合う人を多く知ったので、こういうのもいいかと思っている。どちらとも決めかねている。相手と一緒に考えていきたい。
田中 働くとか形態とは離れてしまうが、自分が見てきた親モデルは1個しかない。よかったところは取り入れて、ダメだったところは修正していけばよい。ただ自分にとってはこんな親だったらいいなと思っても子どもは自分ではないので良かれと思っても窮屈だったりするかもしれない。軌道修正していきたい。
古宮 親に育てられた経験から自分の思っている理想像があるが、子どもにとってなにが大事だと思いますか?
田中 父も母もそうだったのですが、100パーセント子どもの味方であること。父と母の醜い部分も子どもに見せたい。見せて巻き込んでいくという育て方もあると思う。
楽しいのがいいですね、やっぱり。妻と争う姿なんかは見せたくないし。妻が働くとか働かないとか関係なくきちんと向き合えば、子どもは吸収してくれるのかな。職住接近していたので、常に親に見られているのも息苦しかった。そういう窮屈さは感じさせたくない。
山本 自分の理想はありますが、伴侶になる人は自分とはまったく違う家庭で育っていて、そのギャップを埋められるものか、折り合いをつけられるものか不安です。

結婚のリスク?

古宮 どんどん晩婚化しているが、どうしてだと思いますか?
山本 仕事を続けながら子どもを育てたいと思っても産休・休職制度が整っていない。男性も30過ぎてもまだまだ遊びたいと思う人が多いようです。「社会に出てある程度したら結婚しなければ」という概念がなくなってきているのではないでしょうか。
磯野 選択肢が広がったというのも大きいですね。
Sさん 社会が豊かになって、やりたいことが増えて、またそれができる。大学卒業してまたもう一度大学に入りなおすなど。生活の危機感もない。
田中 逆にすごく早婚の人もいる。彼らは結婚がうまくいかなくなったときのリスクをあまり考えていない傾向がある。逆に晩婚の人はそのリスクを重く考えすぎてしまう。
山本 年を重ねると、いろいろなことを考える。自分の生活スタイルを変えられるかなあとか。
尾上 多忙故に結婚できない事もあるかも。高学歴社会で、仕事や経済面で生活が安定する迄に時間がかかる事も一因かと。例えば、研究職志望で理学部ドクターを卒業した場合、その時点で三十歳前で、一定の研究成果や安定した収入を得るには更に時が必要です。
古宮 なるほど。みなさん、色々なご意見ありがとうございました。この場を信頼して正直に経験や気持ち、考えを話して下さった事に感謝しています。    今日は、本当にありがとうございました。
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