まず、今日の日本は産業構造の変化に伴い、人・物・金の流れがグローバル化され、製造業では人件費の安い国に移動、国内では第3次産業が加速し、サービス業ではコスト削減の波が押し寄せてきている。その状況を背景に、日本はきわめて効率を問われる金融、情報産業とスマイル0円と言われるサービス業との両極化があらわれているという。
この日本の現状をふまえて、まず若者の置かれている状況を仕事・教育・家族の3つの面から分析することにより、現代の若者の生き辛さが浮かび上がってきた。
現代の若者を悩ませる、3つの柱として
1. 仕事・・・多様な仕事形態
そのような産業構造の状況下において、仕事形態は以下の3つから選択しなければならない。
(1)一定の保障はあるが、きわめて厳しい労働時間やノルマが課せられる正規雇用、(2)不安定ではあるが内容は正社員と変わらない厳しい仕事をこなさねばならない非正規雇用(派遣社員など)、(3)同じく非正規雇用で短時間であってもスキルは求められる労働(パート、アルバイトなど)
2. 教育・・・学習レリバンス(関連性)の欠如
日本の教育は、人格形成を目的とし、実生活や仕事とかけ離れた教育内容となっている。また高等教育機関は私立の占める割合が大きく教育費が多大で、家計に負担がのしかかり、余力をもたない家庭が増えている。本来高卒者が就ける仕事が大卒者にまわり、格差が広がっている。
3. 家族・・・世代間のギャップ
右肩上がりの経済状況で育ってきた団塊の世代と、下降状況に置かれているジュニア世代では、大きなギャップがあり、豊かで学歴もある親世代は、若い人が置かれている状況が理解しづらい。若い人は、親と同じような人生は難しいと実感している。
また、家庭の諸資源(経済的・文化的・関係的)にも格差が拡大している。一般的に格差による階層にかかわらず、親子関係が良好な場合、コミュニケーションの能力は増すとみられているが、近隣とのかかわりも薄くなり、家族の中でしか問題を抱え込めない状況にある。
本田さんの話を聞いて、私(23歳、女性)も就職活動をしていた時に様々なことを思い悩んだことを思い出した。自分の就きたい仕事はあるけれど、自分が望むような条件での募集はなかった。インターネットの就職応援サイトは、非正社員・派遣社員の道を促すとも取れる文章が多く、一時は非正社員・アルバイトの道も考えた。
裕福な時代に生まれ育ち「自分のやりたいことを見つけなさい」と教えられてきた私たちは、自分のやりたいことと、自立するという現実的な問題の中で、うまく調和が取れず悩んでしまうのかもしれない。
講演の最後に本田さんは、
人々が自分への自信と他者への敬意をもって生きていくことができる社会を少しずつでも作っていくために、今できることは何だろうと問いかけた。自称「専門高校フェチ」という本田氏は、「農業高校の生徒が人手不足の農家の棚田の稲刈りをした」とか、「工業高校の生徒が耐震構造の検査をボランティアでする」なんていう話を聞くと、目がウルウルしてしまうという。若者が外の世界とつながり、他者の力を借りながら、若者自身の力になるような取り組みが必要なのではないか。若者を「弱く何か欠けている存在」と見るのではなく、「主体的な存在」として頼りにする見方が必要だ。言葉やスローガンではなく実質的な取り組みを、一刻も早く進めねばならない。また学校教育(高等教育)の中で、暫定的なものでよいから、これがあるから大丈夫と生徒が思える専門的なスキルを身につけることが必要だ。そのようなスキルがあれば、生きていくうえでの拠り所、基盤になる
と話した。
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