イベント報告

結婚・子育て・仕事・家庭 〜私にとってのベストバランスを見つけるために〜
 (平成19年3月18日(日)13:30〜16:30@大阪城南女子短期大学 )

仕事も子育ても、やってみたい。夫婦のコミュニケーションも取らなきゃなあ。ああ、それには時間が足りない・・・!?人生山あり、谷ありは男にも女にも等しく用意されているはず。あなたはどんな風に生きたいですか?今、大事なことは何ですか?
自分にとってのベストバランスを考えようと、コーディネーターと4人の個性的なシンポジストが3時間に及び意見交換。シンポジウムの一部をご紹介しましょう。
■コーディネーター
大方美香さん  
大阪総合保育大学教授/子育て支援サロンとして20年間自宅を地域で開放。06年より現職。
■シンポジスト
黒瀬友佳子さん 
帝人クリエイティブスタッフ(株)人財部女性活躍推進室長/育児休業法施行初年度に出産。育児短時間勤務などの制度を利用しつつ仕事を続け、02年に帝人入社。04年より現職。
■シンポジスト
小崎恭弘さん 
神戸常盤短期大学幼児教育科講師/91年、西宮市役所初の男性保育士として採用され、97〜02年までに3回育児休暇を取得。3児の父。著書は「育休父さんの成長日誌」「男性保育士物語」など。04年より現職。
■シンポジスト
高田喜巧さん 
07年3月龍谷大学社会学部社会学科卒業。子どもの心とかかわる仕事を目指し、各方面で活動中。
■シンポジスト
水田絵里さん
「つどいの広場」スタッフとして活動中。2歳と7ヶ月の2児の母。

〜子育ては楽しい、でも仕事もしたい!〜

大方:
  いろいろな生き方に、いろいろな悩みがある現在。これが正解という結論はありませんので、それぞれのお立場から何でも語って下さい。
水田:
  将来的には正社員として働きたいと思ってますが、今は「つどいの広場」スタッフとしてお母さんたちのお手伝いをしています。皆さんから聞くところ、働くにはまず子どもを預けなければならないのに、預け先が見つからないと。それで幼稚園入園を待つか一時保育を探し、「とりあえずパートでも」という方が多い。“本気”で探せば仕事も保育所も見つかる!と言う人もいますが、私は働くのも当たり前だけど子育てだってしたい。どこまで本気、真剣でないといけないのか、漠然と働きたいだけではダメなのか・・・そんなことを感じています。
小崎:
  うちは夫婦とも公務員。だから育休も取りやすかったんだろうと言われたりしますが(笑)、さまざまな制度ができた現在、情報を知らないのは損だと思う。多様なライフスタイルがあっていいし、各々の生き方に合わせて働き、子育てすればいいと思う。
黒瀬:
  子どもを育てながら再就職に悩む方も多いと思いますが、まずは、仕事を辞めてはいけません(笑)。育休などさまざまな法律を知ることは個人の責任でもあるので、どういった制度が使えるか、ぜひご自分で調べてみて下さい。また保育所不足の地域では、休職中に預け先が見つからないことが多い。これは社会的な問題。ならば一時保育を利用して仕事を探したっていいし、「とりあえずパート」もいいと思います。最近では「計画された偶然性理論」という考え方が注目されていますね。変化の激しい環境では、偶然の積み重ねをチャンスに結びつけることがキャリアアップにつながるというもの。どんな仕事も必ず次の仕事のステップ、大切な経験となり得るのです。ただしパートの賃金が安いという問題も、別途解決していかなければならないと考えてます。
水田:
  保育所に2人預けるとパートの給料では赤字に。経済面からも正社員で働ければいいのですが。子どもが手を離れた時、自分に何も残らないのは困るし、年齢制限にもひっかかるだろうし。今のうちに仕事を探しておきたい。でも子育ての面からは仕事で家庭に不在がちな夫の協力がもう少しあれば・・・と思うこともあり、気ばかり焦ってどうすればいいのかわからなくなる時も。子育ても仕事も自分なりのバランスを取ってやっていきたいですね。

〜男の子育て 楽しい!苦しい?〜

小崎:
  育休を取ることに抵抗感は全くなかったですね。3回取りましたが、上司らの反応はさまざまでした。職場環境により取り易さは違うと思いますが、子育てすると、自分の子ってこんなに可愛いの!?といつも思う(笑)。女性だけに任せておくのはもったいない。最近は子育てしたいという男性が増えたし、先日は、専業主夫の人から子どもの相談を受けました。男性も、子育てに悩みはあるわけです。価値観もライフスタイルも多様化する現代社会の中でそれはまだまだ見えにくい部分。男性の苦しさ、生きにくさもこれからもっと社会で考えられなければと思います。
高田:
  >僕は子どもの心に寄り添う仕事をしていきたいと今模索中です。皆さんのお話にはまだ実感がないところもあるのですが、自分としては若いうちに子どもが欲しいと思う。やっぱり子どもは好きですし。学生仲間では、子どもができたら仕事を辞めて家庭に入りたいという女性も結構多い。夫婦お互いにやりたいことができるのはいいと思うけど、女性が家庭にいてくれるのは安心感につながるところがあると思う。どうしても、男性は働き女性は家にいるというモデルが頭に根強くあって、その逆をすると男は肩身の狭い思いをするのかなとも・・・。
小崎:
  その考えはもう古いよ!(笑)。
高田:
  やっぱり男なんで、自分の稼ぎで家族を養えればと・・・。
黒瀬:
  これからは正社員でも右肩上がりの給料アップは厳しい時代だから、それはムリね!(笑)
高田:
  そうですか・・・理想と現実のギャップに戸惑ってます(笑)。でも男性にとって子どもをしっかり育てられる社会基盤はまだ整っていないのではとも思います。
黒瀬:
  確かにそれは同感!お父さんが「子どもを風呂に入れる日なので今日は早く帰ります」と抵抗なく言える会社に早くなって欲しいなあ。女性の育休が当たり前になるのに15年かかったけど、男性については努力すれば5〜10年くらいで叶えられるのではと考えています。希望を言えば、「自分が前例になる」という人がどんどん出てほしいですね。

休憩を挟みシンポジウム後半は会場からの質問も交え、さらに白熱した議論が続きました。

〜自分なりのベストバランスを探そう〜

黒瀬:
  私は86年の「男女雇用機会均等法」施行の年に百貨店に入社、とてもラッキーだったと思います。その後出産を経て、育児短時間勤務などの制度を利用して仕事を続けてきました。女性が働き続けるのに「何故?」と説明が求められた時代もありましたから、現在は随分状況が変わりました。よく、仕事と子育ての「両立」と言われますが、この言葉はあまり好きではありません。仕事をし、子育てもすることは普通のことで、あえて「両立」という言葉で特別なことのように扱いたくないなと思います。
大方:
  会場から「仕事も子育ても、全部のことをがんばりたいけど、何かをするには何かをあきらめないといけない時もあるのでは」という声が聞かれました。
水田:
  あきらめ・・・は違うと思いますけど(笑)。先ほどの「両立」のお話と通じるか
と思いますが、育児も仕事も自分なりのバランスを取ってすればいいんだと思います。
高田:
  とにかく全力で進むしかないのでは。
黒瀬:
  言葉の使い方もありますね。仕事をしていれば24時間ずっと子どもと向き合うことは物理的に無理ですけど、大切なのは子どもと心を通わすことであり、仕事面では経済的自立ややりがいを得ること。全てを手に入れるということではなく、ポイントを絞り何が大事かをちゃんと見極めればいいと思いますよ。
小崎:
  僕は自分の子どもの運動会にも仕事で行けなかったりしますが、仕事をしながら「きっと今ごろ子どもは保育園で大切にしてもらっている」と思うわけです。愛情、幸せは回っていく。子育ては「量より質」だと思いますね。
水田:
  まだ結婚されてない方から「両親が働くことは子どもにとって幸せですか」という質問をいただきました。私はまだ働いてませんけど、確かに子どもと一緒にいる時間が減ることは寂しいかなと思います。でも体験者によると、保育園に迎えに行って子どもがママーと駆け寄ってくる時、いつもに増して可愛く感じるそうですよ。私自身は両親が共働きでしたけど、寂しいと思ったことはなかったですね。
黒瀬:
  両親が生き生きと働くことは子どもにとって幸せだと思いますよ。逆に「あなたのために仕事を辞めなければならない」と責められたなら、子どもはあまり幸せじゃない(笑)。離れている時間は寂しいかもしれないけど、では親が働かなければ子どもは寂しくないの?寂しいことはいけないことなの?とも思います。それに保育園も学童保育も子どもたちが育つ大切な生活の場。生活に適した場になっているか、心を砕くのは親の責任でもあります。
小崎:
  男女がうまく連携して子育てすることも必要ですね。僕もそうでしたが、出産に立ち会う男性は増えています。妊娠時から男女で協力し合うことが大事。育休も周囲を気にして取りにくいことがあると思いますが、これからの時代は介護でも休職できる社会にしなければ。育休制度が社会変化を起こす切り口になるのではないでしょうか。
黒瀬:
  育休が取りにくいというお話ですが、妻の出産にあたり連続で休みを取りたいが、周囲に気兼ねして言い出しづらいという声を受け、社内で育休を取ったお父さん、お母さんにプレゼントをあげようという企画をしています。休む人に何故プレゼントかといった批判もありましたが、育休を上司に願い出るきっかけになったという若い男性社員もいました(笑)。回り(周り?)の人の反応に対して、ある種の思い込みもあると思います。10人のうち3人がこの状況を乗り越えていってくれたら、少しずつ社会も変わって行くだろうと思います。

〜「しあわせモデル」を自分が創る時代〜

小崎:
  今は子育てをがんばる時期、これからは仕事中心にやろうなど、各々が優先順位を決めライフコーディネイトを考えてみるといいと思います。自分の人生は自分で切り拓くもの。個人の実力、生き方、価値観が試される時代、もう人生のモデルはいらないのでは。自分はこう生きたいと思ってがんばれば、何もあきらめることはないと思う。
大方:
  現在では家族観、趣向、考え方、生き方も随分バリエーションが増え、その変化には驚くばかりです。今日も示唆に富むお話がたくさんありました。ぜひご参考にして下さい。子育てが終わっても介護の問題もあり、人生は長いスパンで見なければなりません。108歳の祖母は、「生まれた家に帰りたい」と言って亡くなりました。さて、現代の家庭は108年前の家庭と比べて幸せなのでしょうか、それとも・・・?どれだけ社会が変化しても、見失ってはいけないものはきっとあるのだと思います。
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