イベント報告

ジェンダーの視点で非行を考える   2007年5月26日@ドーンセンター

大阪は他県に比べて少年事件の発生率や再犯率の高さが際立っている。 少年非行の防止に向けては、警察や教育関係機関での取り組みだけでなく、子育てや教育全般に渡って様々な形で進められている。このシンポジウムでは、少年非行の背景にある様々な問題を、少年自身、家庭、学校、地域社会の4つの視点で課題を整理し、取り組みの事例を紹介した。また、一人ひとりが「自分らしく」生きていける社会の実現をジェンダーの視点から検証し、少年非行の防止だけでなく、その後の家族も含めた自立にどうつなげるのかを考えた。

第1部 基調講演
能重真作さん (NPO法人非行克服支援センター理事長)
「子どもの危機を考える   〜支える・つなげる・守る、支援活動の現場から〜」

はじめに、NPO法人非行克服支援センターの能重真作さんから現代の子どもを取り巻く現状について報告があった。非行とは自分のおかれている状況に対する異議申し立てのサインであり、これが本当の自分なのだろうかとの「自分崩し」である。しかし、最近の子どもたちは崩すのみで「自分づくり」にむけた再編する力がない。また、30歳を過ぎた青年の非行相談が親から寄せられることも増えてきた。子どもの自立や自分づくりを妨げているものについて考える必要がある。子どもの問題は親だけの責任とはいえないが、家庭や地域社会の教育力も低下している。また、家庭でも地域でも、学校的価値観だけで子どもをとらえるため、子どもは思い通りにならないのは「自分がバカだからしょうがないんだ(成績が悪いの意)」と納得し、親もまた「自分の育て方のせいだ」と自己責任を感じてしまっている。子どもの教育について、学校と家庭がどう協同するのか、また、そこを地域社会がどう支えるのかが大切であると訴えた。

第2部 シンポジウム

シンポジスト コーディネーター
●地域から考える
土岐裕子さん (大阪みおの会)
●家庭から考える
春野すみれさん  (NPO法人非行克服支援センター副理事長・事務局長 「非行」と向き合う親たちの会事務局長)
●学校から考える
竹内和雄さん(寝屋川市教育委員会指導主事)
●当事者の立場で考える
・藤岡克義さん (フジゼミ代表)
・青 年
松浦善満
(和歌山大学教育学部教授・和歌山大学附属小学校校長 NPO法人関西こども文化協会代表理事)

シンポジウムでは、それぞれの立場から 見えてくる少年非行の背景とその要因について語られた。当事者の立場から2名の青年が登壇。 1名は、今回初めて自らの非行経験や親との関係 を人前で語り、「やっぱり、最終的に帰るところは親のところ」であったとまとめた。もう 1名は、フジゼミの藤岡克義さん。塾を経営の傍ら、非行の子どもの支援者として活動している。勉強が立ち直りに重要であったこと、そして「信頼できる第三者のおとなの存在は、とても貴重です。また、親以外のおとなや“世間様(社会)に育ててもらう”という考え方もあるということを、まずは親から理解してほしい。」と語った。次に、大阪みおの会(親の会)の土岐裕子さんから、非行の子を持つ親の孤独感、悩みを誰かに打ち明ける困難さが語られた。そして、NPO法人非行克服支援センターの春野すみれさんは活動を通して、親が元気でいること、子どもに共感する力を持つことが大切と語り、このことから親子の信頼関係が生まれると語った。最後に、寝屋川市教育委員会の竹内和雄さんは、教師と保護者の連携の重要性について触れられた。教師と保護者が反目しあって、肝心の子ども健全育成が阻害される場面が残念ながら多くあると指摘。教師は、ふだんから子どもの良い点を積極的に見つけて、保護者に伝える努力をしていく必要がある。保護者は教師を子どもを良い方向に導いていくパートナーと考え、ともに育てていくという視点を持つことがこれからの方向だと会場に伝えた。

それぞれ立場の違うシンポジストだが、話の中で共通してでてきたことがいくつかあった。まず、(1)子どもの話していること、訴えていることに、とにかく耳を傾ける、そして(2)子どもが必要としている情報を的確に提供し、その後、指図することなく待ってくれる大人の存在、さらには(3)地域や社会全体で子どもを育てるということだ。コーディネーターの当協会の松浦善満代表理事は、「社会の環境はますます悪くなってきているが、それを補足するこのシンポジウムのような人のつながりや、NPOの活動も徐々にできてきている。そこに期待をしながら、今後も『子育てをする』ということについて考えていきたい」と述べた。最後に能重氏は、「子どもは小さくても、やんちゃな子でも、尊ばれる存在であると児童憲章にある。子どもに責任があると言われることもあるが、子どもには全く責任がない。親の問題でもあり、環境であれば環境の問題でもある。大人ができることは、行ったことに責任をとらせることを子どもにどう学ばせるかである。」と語られた。
関連リンク集
・NPO法人非行克服支援センター
  http://ojd.npgo.jp/
・「非行」と向き合う親たちの会 大阪みおの会
  連絡先 090-8526-9712 (月 12:00〜22:00 ・ 火〜日 10:00〜14:00)
・フジゼミ
  http://www.fujizemi.com/
・「非行」と向き合う親たちの会 あめあがりの会
  http://www.shiochanman.com/hikou/
・DYS〜非行に悩む親たちと子どもたちのサポート団体〜
  http://www.dys-jp.com/
・Japan Youth Treasure House
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~JYTH/
・再生塾YAR
  http://www7a.biglobe.ne.jp/~YAR/
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